ハリー・ポッター謎のプリンス/2
















●ハリー・ポッターと謎のプリンス●
●原題;Harry Potter And The Half-Blood Prince
●原作;J・K・ローリング/2005年発表
●監督;デヴィッド・イェーツ
●脚本;スティーヴ・クローヴス
●出演;ダニエル・ラドクリフ/ルパート・グリント/エマ・ワトソン/
●DATA;ワーナー・ブラザーズ 公開 2009年7月15日 153分

 新聞の全面広告!、大予算の広告宣伝!。見ておかないとダメなような…、『ハリ・ポタ』シリーズは脅迫観念(笑)になりつつある。始まるものは、いつか終わるもの。小学生だったラドクリフくんも、すっかり青年だ。さて、かいつまんだあらすじと感想など…。

●あらすじ

 アズガバンを脱獄した悪の魔法使いたち“”は、魔法世界の掟を無視し、人間社会にまで災いをもたらしていた。黒い煙となりロンドンの街を荒らしまわり、ダイアゴン横丁は破壊されてしまう。

 家族になったばかりのシリウスを失ったハリーは、行くあてのない旅をしていた。

 地下鉄のカフェで可愛い女の子と知り合い、デートの約束をしたハリー。そこにダンブルドア校長が現れ、「ハリーに手伝ってもらいたいことがある」と言う。行き先は、かつてホグワーツに勤務していた魔法薬学の教師の家。彼はダンブルドアの旧友で元同僚ホラス・スラグホーンだった。そしてホラスの生きがいは、有名な生徒の思い出をコレクションすることだった。ダンブルドアの思惑は、魔法社会で有名なハリーを見れば、彼がホグワーツに戻ると読んだから。ダンブルドアはどうしても彼から聞き出したい思い出があったのだ。それは…。
ハリー・ポッター/ポスター
 新学期も迫り、ロンの家に戻ったハリー。そこには、ハーマイオニーも来ていた。いつもどおりダイアゴン横丁を訪れた3人が見たのは、荒れ果てた多くの店だった。“死喰い人”の攻撃で、にぎわっていた横丁はすっかり荒れ果ててしまっていた。ただ、ロンの双子の兄たちの“ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ”だけは、大変な賑わいだった。3人は、横丁を歩くドラコを見かける。彼の父親は、あの人への協力があらわになり、魔法社会の表舞台から姿を消していた。ドラコ・マルフォイも、あの人への忠誠を迫られていた。“闇の横丁”の店に入るドラコの後を追った3人だったが、そこで何があったか調べることは出来なかった。

 いよいよ新学期。ホグワーツへ向かう列車が走る。あれほどわくわくした新学期だったが、今のハリーは、不安な気持ちに苛まれていた。さて、学校で何が起こるのか?。新しい教師はどんな災いをハリーたちにもたらすのか?。<<<つづきは映画館でどうぞ!!。

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 冒頭の黒い霧の登場シーンから、原作とは違う物語の始まりを感じる。

 何か別のSF映画かアルマゲドン映画のようだ。この黒い霧は、すべての災厄の予兆なのだ。祝祭感に満ちていた新学期に向かう列車も、楽しい雰囲気は漂っていない。魔法の喜びと驚きに満ちていたホグワースの日々は、迫りくる恐怖に脅え、“世界の黄昏”に支配されている。

 かつてはお約束のように定番のエピソードで構成されていた“ハリ・ポタ”映画。従兄弟との諍い、継子いじめのようなオバサン一家の意地悪、魔法で復習しつつ、新学期へ!。列車の中のわくわく感、新任の先生とハグリットの飼っている怪物、寮ごとの対決とあの人のエピソード、そして楽しいクリスマス!!。しかし、今回はまったく違った。ハリーは最初から悩める青年だ。前回から仲良し3人組も前のように無邪気ではない。思慮深かったダンブルドアも切迫感と焦燥感の中にいる。

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 長いシリーズ、これまで“ハリ・ポタ”のイメージをまっさらにして今回を『起承転結』の始まりとして見た方が良いのだろう。今回、ダンブルドアは取り返しのつかないことになるが、以前ハーマイオニーが持っていた時間戻しの時計はどうしたのだろう。ハリーの姿隠しのマントはどうしたのか?。何故、騎士団は登場しないのか?。ダンブルドアの忠実な部下ハグリットは何故今回活躍しないのか?。省略された映画の脚本では????な部分が多い。今までの短絡的な楽しさを期待する映画ファンには、若干の退屈さがある。

 今回の影の主役はスネイプ先生だ。彼は騎士団の一員だったはず???。邦題の『謎のプリンス』も英語のままの『混血のプリンス』の方がずっと良い。ハリーファンなら、この混血の意味がわかるはず。そのあとのプリンスの意味こそが謎であって、「謎のプリンス」では言葉の主体が違ってしまう。この意味違いのような違和感は翻訳自体にもあるので、いつか違う翻訳者の手になる“ハリ・ポタ”も読んでみたい。

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 とにかく、全編暗い!!。鬱蒼として陰鬱、イギリスの晩秋の風景、スコットランドの冷涼さが画面から流れてくる。エジンバラの街もこんな感じだったかもしれない。1つ気になったのは、事件部分の描写不足に比べ、つまらない恋愛模様が多く描写されていたこと。キスにこだわりすぎて、違和感があった。また今までのその他の友人たちの多くも割愛されていたのも、寂しい。

 次回まで長く待つことになる。その間に、原作を読み返してお茶を濁すことにする。

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ハリー・ポッター/1